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Qubes OS
Z

信頼度ランク

S 公式ソース確認済み
A 成功実績多数・失敗例少数
B 賛否両論
C 動作未確認・セキュリティリスク高
Z 個人所感

Qubes OS への移行・別PCへの引越しガイド

通常のLinux/WindowsからQubes OSへの移行計画、別のPCへのQubes OS引越し手順、バックアップを使ったVM移行、よく使うデータの整理方法を解説します。

一言結論

Qubes OSへの移行は完全移行より段階的なデュアルブートから始めるのが賢明で、GPUゲームや特殊ドライバが必須な用途には根本的に向かないため、移行前にユースケースの棚卸しが不可欠だ。

通常のOSからQubes OSへの移行

移行前の準備

移行が難しいもの:

  • 高性能なGPUを要求するゲーム
  • 一部のプロプライエタリドライバを必要とするハードウェア
  • Windows専用アプリ(Office以外)

移行しやすいもの:

  • Webブラウジング
  • メール
  • ドキュメント作成(LibreOffice)
  • プログラミング
  • コマンドライン作業

段階的な移行アプローチ

完全移行より、デュアルブートから始める方が安全です:

Phase 1: デュアルブートでQubes OSを試す(1〜2週間)
Phase 2: Qubes OSの使用比率を増やす
Phase 3: 完全移行

現在のOSからデータをエクスポートする

# Linux から
tar -czf ~/data-backup.tar.gz ~/Documents ~/Projects ~/.ssh

# Windows から
# ドキュメントフォルダ、Downloads、ブックマークをバックアップ

# ブラウザのブックマーク
# Firefox: ブックマーク → すべてのブックマークを表示 → インポートとバックアップ → HTMLにエクスポート

Qubes OS で最初にやること

新規インストール後の優先設定:

# 1. dom0 のアップデート
sudo qubes-dom0-update

# 2. テンプレートのアップデート
qvm-run --auto fedora-40 "sudo dnf upgrade -y"
qvm-run --auto debian-12 "sudo apt update && sudo apt upgrade -y"

# 3. 必要なテンプレートの追加
sudo qubes-dom0-update qubes-template-debian-12
sudo qubes-dom0-update qubes-template-whonix-gateway-17
sudo qubes-dom0-update qubes-template-whonix-workstation-17

# 4. バックアップの設定
# バックアップ先のUSBドライブを準備

別PCへのQubes OS引越し

手順の概要

旧PC: バックアップを作成

新PC: Qubes OS をクリーンインストール

新PC: バックアップから VM を復元

旧PCでバックアップを作成

# GUI: Q メニュー → Backup Qubes
# 全VMをバックアップ(テンプレートは省略可能)

# コマンドライン
qvm-backup --all /media/usb-drive/backup/

バックアップのパスフレーズを安全に保管してください。

新PCにQubes OSをインストール

通常のインストール手順に従います。インストール時の初期設定では最小限のVMだけ作成します(後でバックアップから復元するため)。

バックアップからVMを復元

# 新PCで
# GUI: Q メニュー → Restore Qubes

# コマンドライン
qvm-backup-restore /media/usb-drive/backup/qubes-backup-*

テンプレートの移行

テンプレートVMは通常バックアップに含めないため、新PCで再インストールします:

sudo qubes-dom0-update qubes-template-fedora-40
sudo qubes-dom0-update qubes-template-debian-12

その後、AppVM のテンプレートが正しく設定されているか確認:

qvm-prefs work template  # fedora-40 が返るはず

データの整理と分類

移行を機に、データをVM別に整理しましょう:

データ種別配置するVM
業務ドキュメントwork VM
個人の写真・動画personal VM
パスワード・秘密鍵vault VM(オフライン)
開発プロジェクトdev VM
信頼できないダウンロードuntrusted または DisposableVM

Firefox のプロファイル移行

# 旧環境から Firefox プロファイルをバックアップ
# ~/.mozilla/firefox/*.default-release/ をコピー

# 新しいAppVMに配置
# パスは同じ(/home/user/.mozilla/firefox/)

ただし、異なるVMに同じブラウザプロファイルを使うことはQubes OSの分離モデルに反します。VMごとに独立したプロファイルを使うことをお勧めします。

SSH キーの移行

# vault VM に秘密鍵を移行
qvm-run vault "mkdir -p ~/.ssh && chmod 700 ~/.ssh"

# 旧環境から秘密鍵を vault VM にコピー
# USBドライブ経由または qvm-copy を使う

# 公開鍵だけを dev VM にコピー
qvm-run vault "cat ~/.ssh/id_ed25519.pub" | \
    qvm-run --pass-io dev-work "cat > ~/.ssh/authorized_keys"

よくある移行後の問題

AppVM でテンプレートが見つからない

# バックアップに含めなかったテンプレートをインストール
sudo qubes-dom0-update qubes-template-fedora-40

# AppVM のテンプレートを更新
qvm-prefs old-app template fedora-40

ファイアウォールルールが消えた

ファイアウォールルールはバックアップに含まれます。復元後に確認:

qvm-firewall work list

dom0 の設定が引き継がれない

dom0 のホームディレクトリ(.bashrc, .ssh/ など)は別途バックアップが必要です:

# 旧PCで
tar -czf dom0-home-backup.tar.gz ~/.bashrc ~/.ssh ~/.config

# 新PCの dom0 に配置

まとめ

Qubes OS への移行は時間がかかりますが、一度完了すると非常に堅牢な環境が手に入ります。

移行のコツ:

  1. デュアルブートから始める — 慣れてから完全移行
  2. バックアップは必ず取る — 移行前と移行後
  3. データは目的別に分類する — この機会に整理
  4. すぐに全機能を使おうとしない — 徐々に慣れる

Qubes OS のコミュニティフォーラム(https://forum.qubes-os.org/)は、移行で詰まったときの強い味方です。